シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

私もシュークリームでした。

自転車をこげなくなったのに、再び自転車をこぎはじめました。

 

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

ご存じでしょうか。漕がないと、進まないと自転車は倒れてしまうのです。

進み続ける覚悟が自転車乗りには必要なのです。

 

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

自転車にまたがった彼らに、漕ぐことの残酷さを教えるのは

私の仕事ではないらしいです。

 

私が入れるクリームは、品質管理された上質なクリーム。

どうやらとても高くつくそうです。

私も彼らも必死に自転車を漕ぎます。

漕ぎます。

漕ぎます。

 

出荷されたシュークリームが、6年後私になるのです。

7年後かもしれない。私は8年かかりました。

再生産の「再」の字は

宿命です。

構造です。

呪縛です。

それが分かっていてもなお、自転車を漕ぐしかないのです。私たちは自転車の降り方も、降りた先もわからないから。

自転車を漕げば漕ぐほどつらくなるのに、それでも漕ぐことしか知らないから、ただひたすら漕ぎ続けます。

 

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

漕ぎ方しか知らないから、漕がないことが分からない。

分からないことは怖いから、ひたすら漕ぐしかない。

 

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。

レールの先には虚無がある。

頭はいいから知っている。

知らないことが怖すぎる。

だから僕らは漕いでいる。

 

シュークリームの生地にクリームを入れる仕事をしています。ひたすら自転車を漕ぎながら。